大阪のコンセンス作りを−知事は合意形成に努力を−
10月定例府議会で酒井府議質問
10月13日に開かれた定例府議会で一般質問。広域行政の行方や、水道事業統合の目的と責任、府庁舎のWBC移転問題、府市の役割整理などについて、橋下知事らにただした。
府が担う広域行政
酒井議員
今議会は地方行政を問い直す重要な議会でもある。知事は就任以来、道州制導入を強く主張されてきた。我々も思いは同じだが、具体的にどうなるのか。
橋下知事 福祉、医療、義務教育など身近なサービスは基礎自治体である市町村が担うと想定しているが、基礎自治体である市町村が、合併を含め、より高い行政能力を持つことを前提にしないと道州制は実現できない。水道など府域内にあるもの、また府が実地するインフラは基礎自治体が他の基礎自治体と水平連携し、空港、港湾、高規格道路などは広域自治体が担うべきだと考える。
水道事業統合の目的、給水責任は
酒井議員 広域行政のコンセンサスについて知事と市町村の間にギャップを感じる。府市町村の統合の目的は、府水道部を廃止するとのことだが、府民への給水責任は誰が負うのか。
橋下知事 水道事業は厳しい環境にあり、安定的、効率的な運用には、最終的に府域1水道を目指すべきだが、かけ声だけでは進まないので、府市共同で動くことが必要と考えた。給水責任は基礎自治体の水平連携事業完了すればはっきりするが、それまでは府の責任を負う形をステップに、最終目標を向け、市水道同を利用した形での一歩を踏み出したい。
酒井議員
今議会最大のテーマであるWTC移転を、大阪市との問題に限って聞く。今回は市長からの要請とのことだが、市はどう変化したのか。ベイエリアを再開発して、アジアの一大拠点にとか、また新エネルギーの産業集積とは具体的に何か。今回の移転案も従来の咲洲プロジェクトの域を出ていないか。面積稼働率22%のインテックス大阪はどうするのか。
橋下知事 平松市長は昨年来、咲洲地区の発展には府庁舎の移転が最も望ましいと考えてこられたが、今年3月、WTC社の処理が市の手を離れたため、発言を控えられた。7月に更生管財人から私に購買要請があり、積極的に要請すべきと判断されたと理解している。ベイエリアは関西経済浮上のカギを握っており、最先端企業の集積地として人、物、情報が流入し、アジアの交流上、重要な地域になることを期待する。さらに大阪梅田北ヤード、森之宮地区を合わせ、府市が連携して大阪の顔を作りたい。インテックス大阪は稼働率より中身だ。戦略性がなく需要を取り込めてないため、運営主体を抜本的に改善したい。各府県知事には広域化したときの技術的なところで意見の違いがあるが、そこの部分はおいといて、先ずは各知事と強固な協力体制を引きたい。
酒井議員
大阪の発展は府市の連携にかかると考える。府市の役割を整理することが大切だが、実際はまったく手つかず。大阪のトータルマネジメントをどう考えるか。
橋下知事 一番重要なことは、道州制に移行するまでの間は、府と市が連携して、大阪のトータルマネジメントをすることに尽きる。府の問題だ。市の問題だというのではなく、とにかく、府、市、府議会、市会、知事、市長がタッグを組んで、大阪のために働くということが一番重要。
合意形成力もガナバーの要件
酒井議員 知事は次々とメッセージを発信されておるが、いささか一方通行になっていないか。府に戦術はあっても戦略は知事の頭の中だけというのも不自然。たぐい稀なる発信力とともに、府市、市町村、議会を含めて大阪のコンセンスをつくりあげる合意形成力もガバナーとしての大切な用件と考えるが。