平成22年度2月府議会を前にして

大阪府議会議員       

 

  今年は正月よりも寒い日が続きますが、皆様にはお元気でしょうか。新型インフルエンザの勢いも少し治まってきたようですが、まだまだ寒い時期が続きますので、どうぞご自愛賜りますようお願いします。

  さて、昨年は本当に激変の年でありました。政治も経済もこおほど変化のあった年は珍しいのではないかと思います。政権交代という大変ドラマチックな変化もありましたが、経済面でも、ガソリンエンジンから電気自動車へというように、革命的な変革の波が押し寄せています。100年に一度の大不況といいますが、むしろ不況というよりも、100年に一度の、社会構造の大変革の時代を迎えているのではないかと思います。

  それだけに、大阪府政もこれまで以上に柔軟な発想を持って、なんとしてもこの時代を乗り切っていく方策と覚悟が必要とされているのではないかと改めて自戒しています。

 

  平成22年度予算の編成にあたって

 橋下知事の財政改革の取り組みにより、11年ぶりの黒字決済を20年度に計上しましたが、一昨年よりの世界同時不況の影響はすさまじく、21年度の府の税収は、20年度より20%減の役2.700億円の減収見込みであり、さらに22年度の税収予測では、21年度に比べ約1.100億円の減収となる見込みであります。

  特に、企業などからの税収である法人2税は、20年度2.235億円であったものが、22年度には約2.000億円となる見込みであり、20年度の4割程度しか見込めないという大変な状況になっています。

  今、22年度予算編成の真っ最中ですが、各事業を5〜10%削っても、まだ、約600億円の収支不足が予測されています。このため、今、収支と支出の両面から、徹底的な見直しを行い、何を残し、何を削るか知事と議会の間で議論してるところです。

 

  WTC問題はどうなるか

  府庁移転条例は否決、WTCビル購入の債務負担行為議案は可決という、真に府民にとって判りにくい結果となった  府庁移転問題ですが、このあとどうなるのか皆様も大変関心が深いと思います。

  私は、移転条例案に賛成、購入の予算案には反対したのですが、それは条例案が否決され、目的を失った予算案は、予算案としての適格性を欠くとの判断からでした。同時に、WTCビルそのものだけを購入するのであれば、改めて、購入目的を明確にした議案を上程するべきだとの思いからでした。

  しかし、結果的には、予算案は、成立しました。これからの問題は、購入目的をきっちり整理し、どういう使い方をするかを明確にすることであります。

  府では、2月府議会に改めて22年度予算案としてビル購入の現年予算案を提出しなければなりませんが、そこで改めてこの問題の整理をすることになると思います。その後、裁判所の更正計画の決定を受けて、5月議会に再び、重要財産取得議案を上程、議決の後、6月に正式に所有権移転が完了、その後、移転ということになります。

  現在、事務担当でビルの使い方について検討していますが、基本的には府市連携の中心となる商工労働部・環境農林水産部を初め、蛸足状態になっている府庁近隣の民間ビルを借りている9部署(8箇所のビルで約1.500人が就業、年間6億2千万円の賃料)などが当面移ることになろうと思います。

 

          平成21.22年度の府税収入見込み

 

府税収入総額

    うち法人二税

平成20年度府税収入決算額

 1兆3.567億円

 5.235億円

平成21年度府税収入見込み

 1兆0.800億円

 2.900億円

平成22年度府税収入見込み

  9.700億円

 2.000億円

 

  この問題が提案されて依頼、私が橋下知事に強く申し上げてきたのは、WTCビルが所在する咲島・夢島地区の活性化策の推進と防災本部機能の担保であります。昨年の2月の段階よりは、大阪市・経済界の取り組みも前進しましたが、実際には、具体化はまだまだこれからの課題であります。大阪ベイエリアが、真に大阪経済に寄与できるようにしてこそ、府庁舎のWTCビルへの移転の意義があり、そうなれば、必然的に名実ともの府庁舎移転になっていくと思います。

 

  関空問題の裏に大きな課題が

  去年の暮れの関空予算の獲得にあたっての、橋下大阪府知事と井戸兵庫県知事、前原国土交通省の関西3空港問題のバトルは、今関西の抱える各県の利害を如実にあらわすものでした。世界経済の大競争時代を大阪が生き抜くには、アジアとの連携と関西国際空港の競争力強化が必須の要件であるとして、伊丹空港の将来の廃止を提唱する橋下知事。一方、現在現実に役割を果たしている関空、伊丹、神戸の3空港の存続を強く主張する兵庫県知事。伊丹の機能縮小のみを言う国土交通省。

  3空港の一元管理については、どうにか地元の意見の一致をみたが、この3者の主張の違いが、関空問題の今後を決める6月の成長戦略会議最終報告に向かっての関西の最大の政治課題になると思われますが、その裏で、実はこれからの関西にとって極めて重大になる問題が隠れてしまっているので、あえてご報告しておきたいと思います。

  それは、リニア中央新幹線の建設問題です。橋下知事は、伊丹廃止の大きな理由に、リニア新幹線が大阪・東京間に走れば、利用客の4割が羽田便である伊丹の役割がなくなると指摘していますが、大阪・東京間を最速67分で走る予定のリニア中央新幹線は、実は、まず第1期事業として2025年の開業予定で東京・名古屋間を走る計画であることです。その後、一定期間後に名古屋・大阪間に延伸することが計画されていますが、現在の計画では、大阪・東京間を全通するのは2045年ということになっています。

  JR東海という民間会社の資金事情から2期にわけての計画ですが、問題は大阪・東京間の全通が名古屋・東京間の運行よりも20年遅れることです。もしこの計画どおりになれば、現在でさえ地盤沈下の著しい大阪経済は、恐らく致命的なダメージを受けることになると思います。まさに、空港問題とリンクするリニア新幹線問題は、大阪の将来を決定する大問題であることにぜひ注目ください。

  橋下知事は、今年は大阪の20年、30年先を決定する重要な年になると年頭から表明されていますが、まさに平成22年は、大阪にとって最も重要なとしになりそうであります。国のほうも、新年早々より波乱の幕開けをいたしたようですが、何とか本年が良い年になりますよう、地方議会の一員として精一杯頑張ってまいりたいと存じます。

 

  リニア中央新幹線の概要

  従来のレールと車輪を使った新幹線ではなく、磁石の反発原理を使って車両を浮かし、時速500kmという超高速で走る超伝導リニア新幹線。

  東海道新幹線運行から46年を迎え、大替線の必要から、リニアか、在来型かのいずれかの新幹線の建設が検討されており、リニア新幹線については、現在、山梨県で実験線を運行、路線は東京より甲府附近を通り、名古屋を経て、その後三重・奈良を通り大阪にいたる計画であり、総事業費は8兆4千億円、所要時間は東京・名古屋40分、東京・大阪67分の予定。

 

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