障がい者の雇用促進 中小企業に事業モデルを提案せよ
雇用率ナンバー1に向け、企業の取り組み支援を
◎全国平均を下回る企業の法定雇用率達成割合
「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、従業員56人以上の企業に対し、全従業者の1・8%に当たる障がい者の雇用を義務付けている。しかし平成20年6月1日現在、大阪府に本社がある民間企業6081社中、この法定雇用率を達成しているのは2605社、達成割合は42・8%と、全国で43位だった。
橋下知事は、昨年12 月に公表された「将来ビジョン・大阪」で「就職ナンバー1」を掲げ、企業の障がい者雇用に向けた取り組みを促進し、雇用率ナンバー1を目指す、と意欲を示したが、現状は全国平均よりかなり低い水準だ。
そこで自民党府議団は平成21年2月の定例府議会で、今後どのように法定雇用率達成に向けた企業の取り組みを誘導・支援していこうとしているのか、知事に質問した。
◎9月議会に向け条例案
知事は、21年度から「障がい者雇用企業促進センター」を設置し、法定雇用率未達成事業主への積極的な働きかけときめ細かなサポートに取り組むことを約束。取り組みの実効性を高めるため、府と取引する事業主への雇い入れ計画提出の義務付け、達成に向けた努力が見られない事業主に対する改善勧告や事業主名の公表を定めた条例案を、本年9月議会に提案する予定で準備を進めていることを明らかにした。
さらに、知事は「『法定雇用率未達成企業と取引しません宣言』という強いメッセージを発信し、障がい者雇用ナンバー1に向け着実に歩を進めていく」と決意を語った。
親会社が、障がい者雇用に特別に配慮した作業所、工場などを子会社として設立し、公共職業安定所から認定されれば、障がい者を親会社で雇ったものとみなされる特例子会社の制度がある。府内24社がこの制度を利用しているが、いずれも大企業ばかりだ。
◎啓発、助言、情報提供を
府議団は、中小企業の障がい者雇用を促進するには、行政が啓発、助言、情報提供などの支援を行い、意識の向上を図り、主体的な取り組みを促進することも大事だが、それだけではなかなか進まない現実を指摘。
単に法定雇用率の達成を目指すだけでなく、一歩踏み込んで、障がい者雇用を促進する事業モデルを考案し、具体的に企業に提案していく必要性を主張し、知事の見解を質した。
知事は「厳しい経営環境の中、障がい者雇用に取り組む中小企業を支援するには、ご指摘のように企業の規模や業種に応じた先進事例の紹介やマニュアルの作成など、個々の企業向けに雇用モデルを提示していくことが必要。企業経営や労務管理の専門家の助言も得ながら、具体策について検討を進めていく」とわが党の主張を認め、積極的な取り組みを約束した。