今年の「酒井ゆたかの府政報告」新春号でご報告した府政の主な動きについてまとめた記事です。府市再編の問題や、成長戦略について簡単にまとめていますので是非ご一読たまわれば幸いです。

 

「なんとしても元気な大阪を」


 今年の年末年始は例年に比べて相当寒さが厳しいようですが、皆様にはお変わりありませんでしょうか?

この寒さの原因は、ラニーニャ現象といって、南米ペルー沖で起こる海水面の低温化による異常気象に一因があると言われており、オーストラリアの大洪水、北米の寒波、欧州ドイツの洪水のもととなっているようです。

 お天気も世界規模の時代ですが、経済や安全保障の問題も、今や、世界の状況が私たちの国の在りようや生活に直ちに影響を与える時代になりました。昨年の尖閣諸島の問題や、北朝鮮の砲撃問題、ロシア大統領の北方領土視察問題はまさにその端的な例でありますが、とりわけ深刻な問題は、昨年、国内総生産(GDP)が中国に追い抜かれ世界第三位になったことです。

 

なんでこんなに景気が悪いんやろか

 

今や、日本のGDPが世界で占める割合は10年前の約6割になり、世界の8.7%でしかなくなってしまっています。なんでこんなに景気が悪いんやろ、なんでこんなに仕事がないんやろという悲鳴があふれていますが、すべての元はここにあります。いうならば、日本の国の売上が半分に減ってしまったようなものです。日本のGDPそのものの金額は変わっていませんが、実は、世界のGDPは10年前の倍になっているのです。失われた10年という言葉がありますが、まさにバブル以後の日本経済が足踏みしている間に世界は大きく変わってしまいました。

今や世界は、企業と企業との競争に加えて、国と国、都市と都市との競争の時代になりました。好むと好まざるに関わらず、激しい世界の競争にしっかりと応えていけるかどうかが、国だけでなく、都市としても存立の要件になっています。

 

大阪を元気にするためのふたつの議論

 

こうした情勢をうけて、大阪府政では今、二つの議論をしています。

ひとつは、これからの世界の大競争時代に大阪の産業経済をどう成長させるかということと、もうひとつは、そのための都市の競争力を生み出す行政組織のあり方をどうするかということのふたつの問題です。

古来大阪は、日本の経済の中心であり、商都大阪と言われてきました。ところが、大阪万博を頂点に、大阪の経済は沈下を初め、全国に占める割合から見れば今や往時の7割半ぐらいの経済力になっています。これには、いろんな原因がありますが、大きな要因は大阪の工場や事業所が地方や国外へと移転したこと、また、大阪で誕生した多くの大企業が本社を東京へと移した、いわゆる東京一極集中が経済のグローバル化とともに起こったことなどであります。

近年の交通機関や情報機能の発達で、世界は時間・距離ともに一挙に縮まってしまいました。また新興の国々が、先進国と変わらぬ経済発展を遂げ、従来の産業構造では競争力を持てない時代ともなりました。

こうした情勢下で、大阪の経済力を高めていくには、従来の手法だけではなかなかうまくいきません。このため、大阪の経済力を高め、経済成長を図るには、実行力のある戦略をしっかりとつくって、特定の分野に力を注入したり、また、府外や国外からの投資を喚起する仕組みをこしらえたりする必要があります。

 

大阪の成長戦略の策定

 

こうしたことは、今までもやってきたことですが、もっと強力に、大阪府全体で明確な戦略を決めてこの大阪を成長させていこうと、実は、昨年12月、大阪の成長戦略を決定しました。中味は、従来は規制緩和だけであった特区制度の仕組みを、中国や韓国と同じような税の引き下げにまで踏み込んだ総合特区を大阪にこしらえたり、観光客を飛躍的に増やすため、関西国際空港に格安の航空便の拠点を誘致したり、太陽光発電や蓄電池、医療・製薬などの新産業の成長を後押しする仕組みをつくったりし、大阪のこれから10年の目標として、毎年2%以上の経済成長率を目指し、経済界や民間と共同で大阪を発展させていこうとするものです。

 

府市の行政組織の再編の方法

 

もうひとつの問題は、こうした時代背景をうけて、改めてこの大阪の行政の仕組みがこれからの時代にあっているのかの検証であります。大阪府では、昨年4月より半年にわたり、大阪府自治制度研究会を設置し、大阪のこれからの行政組織のあり方について専門家のよる研究が行なわれてきました。特に、大阪府と、大阪市や堺市という政令指定都市との関係についての議論が行なわれてまいり、1月にもその報告書が出る予定です。

この報告書では、大阪の広域行政の一元化と2重行政の解消の必要性を提議し、ただし、一元化の方法については、いきなり大阪府と大阪市・堺市を解体するような方法をとるのではなく、奇しくも私たちと同じ大阪府と大阪市・堺市による協議会方式による意思決定の一元化を提案するようです。

今、大阪のもっぱらの話題は、橋下知事が提唱する大阪都構想でありますが、この構想にもいいところと問題があるところの両面があります。何のために大阪を改革しなければならぬかについては、誰しも異論のないところだと思います。大阪府と大阪市と堺市の力をまとめ、大阪の競争力を高めることは当然のことでありますが、そのとき重要なことは、その手法が本当に大阪の力をまとめることになるかどうかであると思います。

 

大阪広域戦略協議会と大阪広域連合

 

私たち自民党のなかでも随分議論をしてきました。府議会だけでなく、大阪市会議員団や堺市会議員団とも度重なる論議も行なってきました。そのうえで、いま、大阪に求められていることは、それぞれの組織を解体しバラバラにすることでなく、それぞれの強さを引き出し、本当に大阪の力をひとつにまとめていくことであり、そのための手法としては大阪広域戦略協議会の結成と大阪広域連合の実現が現実的であるとの結論に達し、自民党大阪府連の政策として決定しました。

これは、大阪府・大阪市・堺市の知事や市長、議会によって構成する協議会をそれぞれの条例によって設置し、大阪全体の方向を協議会で決め、そこで決まったことをそれぞれの行政体が実行するという手法です。さらに、進んで行政事務そのものをひとつにまとめる大阪広域連合の結成をも視野におき、大阪の広域行政の一元化と2重行政の解消をはかるとともに、大阪の持てる力を最大限に生かしたいと考えています。

 

大事なことはム−ドではなく充分な議論

 

議論されている問題はこれからの大阪の100年を決定するほど大きな行政組織の変革の問題であります。何を変えなければならぬのか、府民・市民にどのような影響を与えるのか、また、それが大阪の発展や成長に本当につながるのかどうか充分に議論されなければなりませんし、また、説明がなされなければなりません。

 大事なことは、大阪都構想であれ、大阪広域戦略協議会であれ、府民・市民への丁寧な説明が不可欠であると思います。これから、2月定例府議会が始まりますが、大阪の新しい幕開けに繋がるような実りのある議会にぜひならなければと思っています。