商工労働委 で酒井 豊議員

大阪経済の再生と大阪都市構想は別問題

平成24年度補正予算案を審議する9月定例府議会が、9月21日から12月14日までの会期85間の日程で開かれています。
 この議会に先立ち、今年3月の2月定例府議会で設置された大都市制度推進協議会で、わが党委員と松井知事・橋下市長との間で大都市制度のあり方やなぜ大阪市を廃止し大阪都に編成しなおす必要があるのかをめぐって白熱の議論が展開されてきました。
 一方、この間、国会では8月に大阪市を廃止し新たに特別区を設置することができる法律が成立しました。
 大都市制度推進協議会での議論については前週に特集号でお知らせしましたが、大都市制度の変更で一番大事なことは、何のために制度を変えなければならないのかということ、また、制度を変えることで市民にどんなメリットがもたらされるのかということです。
 そして、そのことが主人公である市民の皆さんにしっかりと認知されておかねばなりません。世の中が閉塞感にあるから、何かを変えたら、なんとなくよくなるのじゃないかというのでは、責任ある政治や行政のあり方とは言えません。
 松井知事・橋下市長の「大阪都構想」とは、“大阪の経済が低迷してきたのは、大阪には大阪府と大阪市という二つの行政組織があり(実は大阪以外の府県も同様ですが)、そこでバラバラの政策をしてきたためであり、大阪を元気にするためには大阪府と大阪市をひとつにまとめ大阪都にするべきだ”という考え方です。
 それじゃ、本当に、大阪の経済低迷の原因が大阪府と大阪市の二つの行政体があったためなのか、また、二つの行政体が一つになれば大阪の経済は良くなるのか、これがこの構想の肝中の肝でありますので、この点はしっかりと検証されておかねばなりません。
 大都市制度推進協議会では、この点について再三にわたり議論が行われましたが、結局、 松井知事・橋下市長からは未だに明確な回答がありません。
 それなのに、この12月には、新たに法律に基づく特別区設置協議会いわゆる法定協議会が設置されようとしています。そもそも、この協議会の役割は特別区の設置の協定書をつくるためにありますので、一番大事な、大阪市をなぜ廃止するのかについての議論は飛ばされたまま、事態は最終段階へ入ろうとしているのです。
 大阪始まって以来のこんな大きな制度変更が、議論が充分尽くされないまま最終段階に入ろうとしていることは真に不条理なことですが、法定協議会の後は、大阪市民自身が住民投票という形で大阪市を廃止するかどうかの可否を判断しなければならぬ時がやってまいります。
 そのとき、市民の皆様が正しく判断されるのに必要な情報を可能な限りお届けするのが私たちの役目だと考えています。

 今日は平成24年9月定例府議会・商工労働常任委員会での酒井 豊議員(福島区選出)の <br>
質疑の概要をご報告します。 

●大阪経済の低迷の原因は
【酒井議員】都構想では大阪経済の低迷は大阪府・市の二重行政に原因があるとしているが?
【商工労働部】大阪経済低迷の主な要因は、経済のグローバル化への対応不足、中間所得層の減少、自由度に欠ける経済政策、中国などの新興市場への乗り遅れなどであるとされている。
松井知事】府市の行政がふたつに分かれていることだけが大阪経済の低迷の原因ではないが、大きな原因のひとつではないかと思っている。>
●経済対策は関西全域をにらんで
【酒井議員】大阪の活性化、元気にさせるもとは、産業経済がしっかり発展すること、そのためには大阪府なり、行政体が政策の基軸をどこにおくかが一番大事なことである。
 府の産業振興策はエネルギーやバイオ等の新産業の育成に偏重しているが、実際に大阪経済を支えているのは繊維や化学、医薬品などの基礎素材型産業であり、これらの産業が技術革新に励み、最先端の航空機の部材やデジタル機器の主要部材を造ったりして、国際競争に伍している。
 一方、府民所得が低い(全国7位)というが、雇用者報酬(職業従事者の所得)は愛知・ 神奈川を抜き全国2位である。
 また、東京一極集中と言われているが、実際の企業の移転調査によれば、実は関西各県での移動が全体の6割を占めている。
 総合特区を切り札のように言っているが、総合特区や残された産業集積拠点が最大限に活用されても、実は想定される経済効果は五千億円に過ぎぬ。大阪のGDP(府民総生産)は四十兆円、これでどうして大阪を元気にするのか。
 都市間競争、経済競争というが、経済競争は行政のエリアで行われるのではない。大阪という狭い地域でなく、関西全域を見すえたもっとグローバルな産業政策を考えるべきである
 府民所得の低いのは職業従事者の比率が東京・神奈川・愛知に比べて大阪が低いのに原因があり、経済対策と住民課題である都市問題を混同すべきでない。

【商工労働部】関西広域連合で関西広域産業ビジョン2011を策定し、オール関西で取り組んでいる。
【酒井議員】このビジョンを見たが、各県の政策をまとめただけに過ぎぬ。大阪自身がもっと枠を超えた発想をすべき。また、過去に投資した京阪奈学研都市やせっかく招致してきた国立国会図書館のことなど、今やすっぽり抜けてしまって大阪のエリアの中だけのことを考えている。
【松井知事】私も全く同じ考えである。関西広域連合で経済政策も観光の連携もやっている。ただ、関西広域連合はあくまで連合、関西州という新しい行政の仕組みにつくりかえていきたい。その第一歩として、大阪から制度変更したいと思っている。
●制度変更と特区だけで大阪再生ができるのか
【酒井議員】成長戦略について、当時の橋下知事と随分議論した。私は大阪をどう再生させるかの成長戦略を持つべきだと提案したが、橋下さんは府市の制度変更が先、制度ができてから中身を考えるという考え方であった。それはおかしいという話をして、いろんな経過があって成長戦略ができた。
 制度変更と総合特区だけで大阪は元気にならぬ、もっと政策を練り上げる不断の作業がいるのではないか。
【松井知事】僕は制度と政策は並行してやるべきものと思っている。いくらいい政策を掲げてもそれを担える制度になっていなければ実現できない。制度として、関西二千万人の区域を一元化する制度を作るべきと思う。

大阪都から関西州への矛盾
 私たち自民党は、かねて、大阪を建て直すためには、大阪だけでなく広く関西全域で広域的な地方行政が展開できるようにすることに力を傾注するべきであると主張してきました。特に経済の問題は行政の境界を越えた問題であり、大阪だけに矮小化した対策でなく、もっと関西全域をにらんだ経済対策こそ必要だと思っています。
 関西州についての思いは松井知事も同じかもしれぬが、関西州というのはこれまでの府県制度を廃止し関西全域の広域行政をひとつにしようとする構想であり、あくまでも府県の廃止を前提にしています。
 他の府県には府県の廃止を求め、大阪だけは大阪都として府県を残すというのでは他の府県の賛同は到底得られませんし、また逆に大阪都をなくすとするならば、大阪市がなくなりバラバラに小さくなった特別区だけの大阪で関西全域をリードしていくことなどおよそ不可能なことです。
 こうした矛盾を抱えたままで、制度変更だけが進められることを私たちは大変危惧しています。