平成24年度予算案を審議する平成24年2月定例府議会が、2月23日から3月23日までの会期30日間の日程で開かれました。昨年11月の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙の結果を受けての初めての本格的予算を審議する議会であり、また、大阪維新の会の公約である教育基本条例案・職員基本条例案・大都市制度推進協議会条例案等を審議する議会でもありました。
私たち自民党は、かねて、閉塞感のある大阪を建て直すためには、大阪の行政や企業が力をあわせ、元気なまち大阪を再生させる作業をすることが何よりも大事であり、そのためには、府市の制度を変えることに精力を注ぐことよりも、むしろ、今すぐにもできる大阪府や大阪市の事業の一本化や、大阪だけでなく広く関西全域で広域的な地方行政が展開できるようにすることにこそ取り組むべきであると考えてきました。
そして、そのための仕組みとして、大阪広域戦略協議会の結成や関西広域連合での取り組みの強化を主張しており、今議会にもそのための条例案を提案いたしました。
一方、私たちは選挙の結果は府民の厳正な審判であり、必要な協力は十二分に致してまいりたいと考えておりますが、同時に、議会が議会本来の役割を果たすためには、単に賛成・反対を表明するだけの議会としてしまうのではなく、しっかりと府民のための政策が遂行される大阪府政とするため、それぞれの会派、一人ひとりの議員がその役割を果たすよう務めなければならないと思っています。
こうした観点から行いました平成24年2月府議会・府民文化常任委員会での酒井 豊の質疑の概要をご報告します。
松井知事や橋下市長は、都構想の政策の大きな柱として、大阪の都市魅力の創造をあげており、これまで、御堂筋イルミネーション事業や大阪マラソンなどの集客施策に力点をおいた政策展開を行ってきましたが、一方で、文化施策の展開という面では、ずいぶん議論を引き起こしましたように、施策の整理と予算の減額が進められてきました。
こうした中、年当初より大阪のグランドデザインや都市魅力の創造についての府市統合本部や府市都市魅力戦略会議での議論がずいぶん新聞紙面をにぎわしていますが、果たして、統合本部会議での議論のように、これらの施策が実際の予算編成で、大阪再生への主要施策と位置付けられているのか検証しました。

パスポート事務の市町村への事務移譲
[議員]パスポート事務の市町村への移譲についてであるが、事務移譲の希望のある市町村には、その市町村の窓口でもパスポートを取れるようにし、一方、希望のない市町村ではそのままにし、他方、府のパスポートセンターでは従来どおり発行していくとのことだが、これでは結果的に新たな二重行政をつくり、行政コストを増やすことになってしまう。もっと全体像をもって、府の役割、市町村の役割を整理して進めるべきではないか?
[府民文化部長]意識の違いがあったことは反省している。ぜひ全市町村でやっていただき、大阪府は重点的なところに集中、全体として効率性、利便性を提供するのが目的と思っている。
[議員]大阪市は事務を受けないと言っているが、どうするのか?
[府民文化部長]大阪市にも充分理解してもらうよう努力する。
[松井知事]二重行政を解消していくのは当然のことと思う。

府市統合本部・都市魅力戦略会議と大阪府市の意思決定のあり方
[議員]府市統合本部と府市都市魅力戦略会議で統合の議論や作業をしているが、中間報告を3月、方向性の決定を6月にまとめるとのことだが、議会の日程との間にタイムラグがある。
[松井知事]府市統合本部はあくまで任意の会議体。そこで出た答えを議会に諮り、議会の審議を経て最終的な役所の決定にしたい。
[議員]理屈はそうであろうが、実際には、府市統合本部で出した結論が府市の決定になってしまう。仕組み上おかしい。このためわが党は議論や決定の法的効力や、首長と議会の議論の密度やタイムラグの解消を図るため、大阪広域戦略協議会の設置を提案してきている。ぜひ、検討を願いたい。
[松井知事]提案の中身や意味については僕も充分理解できるが、今回は、大阪の行政の制度そのものを見直すという答えをだしたく、大都市制度推進協議会の条例を提案している。

都市魅力創造事業と実際の予算との乖離(かいり)について
[議員]表でご覧のとおり、年々文化振興の予算が削減されている。また、都市魅力創造の予算も、府民の寄付を前提にした予算であるため、寄付金の減少とともに今年度は減額されている。府民の理解をいただいて、事業を進めるんだという考え方はいいことだが、この間の都市魅力の創造が大阪の再生を左右するのだという府民へのメッセージから考えると、メッセージの発信と実際の予算編成の間にずいぶん乖離(かいり)があると思うが?
[松井知事]都市再生に文化や都市魅力事業が重要だということは認識している。予算は減っているが、できるだけ民間の皆さんにお金も出して、自分も参加するというような形の文化をつくりたいと思っている。
[議員]松井知事が提唱するような世界に競争力のある都市にしていこうということであれば、果たして今の仕組みでやっていけるのか?
[松井知事]決して文化を軽んじていない。行政が文化にお金を出すのではなく、府民にお金も出して育ててもらうようにしたい

これでよいのか大阪再生への取り組み

( 平成24年2月定例府議会・府民文化常任委員会の質疑概要 )