咲洲府舎からの完全撤退を!


9月定例会 代表質問で 宗清政調会長



 宗清皇一政調会長(東大阪市選出)は9月28日に開かれた定例府議会で代表質問。2か所に分かれた府庁舎問題、府 立成人病センター建て替え、職員基本条例、財政運営基本条例、防災対策、私立高授業料無償化などについて、橋下徹知事らに質した。

府庁舎問題

二転三転する知事発言

【宗清議員】知事は咲洲庁舎(旧WTCビル)への本庁舎移転を強引に進めようとしたが、平成21年9月府議会で庁舎移転は否決、旧WTCビル購入予算だけを可決という形になった。その後、「コストがかかるから」と咲洲庁舎への一本化を主張されたのに、東日本大震災後は庁舎が2つあることを正当化。これだけ発言がころころ変わると、府民も理解できない。府が咲洲庁舎への全面移転を断念した今、庁舎が2つあれば、知事の言う通り莫大な経費がかかり、府民に大きな負担を強いる。咲洲庁舎から全面撤退し、大手前に戻るべきだ。

【橋下知事】東日本大震災で、当時の知見で予見できなかった揺れが起きた。事態が変われば判断が変わるのは当然だ。

【議員】2008年ごろの業界紙やネットを見ても長周期地震動について様々な記事が掲載されており、専門家の中でも府庁移転には心配の声があった。知事はスピードを重視するが、咲洲庁舎の地震対策を詳細に議論したという自負はあるか。

【知事】責任逃れをするつもりはないが、当時の知見に基づいての検証はしていたものの、想定を超えるような災害があり、実際の数値が違ったということだ。このレベルの災害の予見は難しい。
【議員】わが会派は、今年度中に咲洲庁舎の職員2000人を撤収して民間ビルに仮入居させ、本庁舎隣に新庁舎を建設する案を提案する。この場合、2庁舎併用よりも今後30年の負担が約350億円安く済む。大手前に集約するべき。知事は11月27日に想定される知事、大阪市長のダブル選で市長選に出馬を示唆しているが、辞職するまでに庁舎問題にケリをつけるべきだ。

【知事
】咲洲からの全面撤退はマイナス面がはるかに大きい。(自民案は)咲洲庁舎が確実に売れるなら、検討に値する。政治判断については、咲洲庁舎は現行法上の耐震性は有しており、府庁舎の全面移転はやめたが、撤退はしない。国際戦略総合特区として、府・市連携のシンボルになるようにしたい。

成人病センター
 府民の意向無視せずに

【議員】成人病センターの現地建て替えは、公衆衛生研究所等の移転というリスクがあると言いながら、そのリスクを回避するための議論は一切されていない。初めから大手前移転ありきで進められてきたのではないか。知事は早期建て替えが大阪全体の利益と言っているが、府が行ったインターネットでの府民アンケート調査では、建て替えに際して、交通の利便性が一番重要という結果が出ている。アンケート結果が、府の意思決定にどのように影響を与えているのか。

知事】成人病センターの大手前移転建て替えは府民全体の利益にかなうことで、細かい世論調査の結果にとらわれていては事が進まない。大事なことは選挙で選ばれた我々が責任を持って判断する。

【議員】先の2月議会で指摘したように、現地建て替えを進めていれば、少なくとも6か月短縮できた。知事の強引な政治手法と理事者のいい加減な資料が、建て替えを遅らせている。成人病センターの大手前移転には課題が山積しており、次期知事の下でしっかりと議論することが民意と考える。今議会に提案されている移転関連予算案を取り下げるべき。
【知事】民意ということは、議会での判断も民意であり、地域住民を代表している議員の総合判断でしっかりと決めていただきたいと思っている。

各種条例
職員基本条例
【議員】現在提案されている「職員基本条例」は違法性が疑われる部分があると思う。総務部長の所見は。

【総務部長】任命権者の懲戒・分限処分の裁量を縛るのは違法。また、幹部職員を任期付きで公募する点は、法の趣旨にそぐわないなど、問題点はある。

【議員】もし違法性があるまま可決された場合、地方自治法に基づいて知事は再議に付さなければならないが、その場合はどうするのか。

【知事】再議が必要なほどの違法性が確認された場合は、再議をしなければいけない。

財政運営基本条例
【議員】知事が10月の採決直後に辞職するのなら、財政運営基本条例を引き続き提案するのは理屈に合わない。もうすぐ辞める方が、次の知事の予算編成を縛るような条例を出すのは本末転倒であり、取り下げるべきだ。

【知事】知事になって痛感したルール無き府の財政運営を正したもので、ルール化は絶対必要。自分が辞めるのなら、なおさら必要であり、次の知事が誰になっても、納税者の立場に立って財政運営のルールを定めておきたい。

防災対策
災害に強いまちづくり
【議員】府地域防災計画の見直しについて、府などから岩手県に派遣された職員の生の声を反映し、見直しを進めていることを目に見えるような形で明らかにすれば、府民も心強く思うのではないか。

【危機管理監】地域防災計画の見直しにあたっては、関西広域連合が現在策定を進めている「関西防災・減災プラン(仮称)」とも整合性をはかるとともに、震災直後から被災地支援の様々な業務に従事してきた職員から直接話を聞くなどし、 教訓や課題を府の防災対策に活かしていく。

槇尾川の治水対策
【議員】府は槇尾川でダム建設を予定していた治水対策を変更し、河川改修にするという方針を決定した。本来、ダムは時間雨量80_対策を視野に入れて建設していたが、先の台風12号の大雨を見ても、80_を超える雨は想定外とはいえない。知事はそれでも判断は最善だったと思うのか。

【知事】ダムと河川改修の治水効果は五分五分とあって悩んだが、河川改修を選んだのは最善の判断だったと思っている。80_対策という目標をおろしたわけではないが、将来的にダムをどうするかは、そのときの財政状況を見て判断することで、今は考えていない。

教育施策
私立高授業料無償化
【議員】今年度の新1年生から、私立高の授業料は年収610万円までの世帯の生徒は無償、また年収800万円までは10万円が上限となった。その結果、私立高へ進学する生徒が前年比3000人余り増え、公立へ進学する生徒は3600人余り減っている。知事は就任当初、私立高への助成を10%カットし、公立志向が強まった。今年度は180度政策を転換し、私学に受験生が集中した結果、公立の4割が定員割れとなった。制度の激変の結果、定員割れの公立は学力不十分でも入学させ、生徒数の確保が目的の私立も出てくる可能性がある。大阪の教育の混乱をどう考えるか。

【知事】私学助成の費用を限られた財源から捻出するのは本当に大変だった。今回の措置は保護者負担を少なくして、学校間の切磋琢磨で互いに向上してもらうものだ。激変というが、誰にとっての激変なのか。激変のデメリットといえば定員割れした公立高ということになるが、3000人が行きたい私学へ行ったということではないか。

高速道路料金
阪神高速料金改定
【議員】阪神高速道路の料金改定案の同意を求める議案が提出されているが、知事はこれまで現行案のままでは絶対に同意しないと繰り返されてきた。同意条件として国に、エリア内の料金体系を一元化する「ハイウェイオーソリティー構想」の実現を求めているが、国との協議議事録からは「25年度末に方向性を示す努力をする」としか思えない。一歩進んだと言えるのか。

【知事】3年かかって苦労してここまでこぎつけた。一歩進んだと思っている。

【議員】知事は国や阪高の責任は追及しているが、府自身がすべき、例えば、第二阪奈道路(府道路公社)と阪高との経営や管理の一元化などは進めているのか。

【知事】個別の道路ごとではないが、公社も含めて部局に検討を指示している。

【都市整備部長】今後、国と公社を含めて検討していく。

【議員】今回の提案は、国との協議前に提示された案と全く同じである。知事は500〜900円の対距離料金について納得しているのか。

【知事】500〜900円の対距離料金は納得している。

 





 
 












2つの庁舎 大きな府民負担