公立病院の環境整備支援を急げ

医療体制の充実

救急診療体制を早期に再構築せよ

●早急に公立病院の医師らの待遇改善を 

 地域医療を支える公立病院で、とりわけ救急・産科・小児科で安定的な医療サービスを提供できるようにするためには、医師らを確保しなければならない。そうでないと来院する患者が減少し、医業収入も減少するという悪循環に陥る。
 平成21年6月に中央社会保険医療協議会が調査した「医療経済実態調査」によると、公立病院の医師と医療法人設立病院の医師の平均給与を比べると、公立病院が1か月で9万5千円低かった。これほど差があると、公立病院で医師を集めることは難しくなる。自民党府議団は早急に待遇を改善すべきだと考える。

●阪南市立病院問題は現状のままでは何も解決しない

 2年前に策定された大阪府の「公立病院改革に関する指針」では、公立病院は経営効率化を図りながら、地域で必要な医療サービスを安定的に提供していくべきとし、現実的な解決策を示せないなら、民間譲渡や病院廃止も視野に入れるべきとの厳しい内容であった。
 医師不足に苦しむ阪南市立病院に関しても、病院改革プラン評価委員会から、公設民営化、指定管理者制度採用が最適との答申があった。阪南市議会市立病院関連特別委員会が、指定管理者導入案を否決したとも聞いているが、原状のままでは何も解決しないのも事実である。
 橋下知事は、医師不足が深刻な泉州医療圏について、府も積極的に関与した中で「大阪府地域医療再生基金」を活用しつつ、貝塚市・泉佐野市・阪南市の公立病院間で診療機能の重点化や、協働による救急体制の確保、医師にとって魅力ある研修環境作りなどの基本構想の策定を進めていると、答弁した。
 さらに病院間の再編・ネットワーク化の機運の高まりが促進されるよう支援に努め、併せて修学資金の貸与や勤務環境改善に向けた支援等による医師確保の取り組みを進める。阪南市立病院に関しては、府が考える地域医療の再編計画もしっかり進めるため、阪南市とさらに協議を進めたい、とのことであった。

 自民党府議団は厳しい状況にある地域の公立病院が安定的に医療サービスを提供できるような環境整備を十分支援されるよう強く訴えるものである。

●救急医療の適正受診が図れるよう府民に十分な啓発を

 急な病気やケガなどの際、適切な医療がより早く受けられるような救急医療体制の整備も大変重要である。平成20年度に大阪府で救急搬送された人数は41万人あまりだったが、うち6割は軽症患者、つまり本来、救急対応の範囲外であるべき人が、大半を占めており、このような状況では、本当に救急医療を必要とする人たちに十分対応できない。府議団は救急医療の適正受診が図られるよう、日ごろから府民がかかりつけ医を持つなど、開業医とも協力しながら十分な啓発広報に努めるべきと考えている。
 府の理事者は、救急医療に関する府民啓発について、医療機関の協力を得ながら、ポスター掲示や各種啓発グッズの配布等を行っている。今年度は、街頭や企業などでのアンケートを組み込んだ啓発活動を進め、より適切な救急医療の利用のあり方について考えてもらえるよう取り組む。地域の実情に応じた病院相互の連携を強化しつつ、改正消防法に基づき、傷病者の円滑かつ適切な搬送と受け入れの実現に向けた実施基準の策定を進める。また効果的な運用と検証によって、医療、消防、行政が一層密に連携した救急医療体制の充実に努めていく、としている。

 自民党府議団はさらに地域の実情に応じて救急搬送患者の受け入れ体制強化を図る必要があるという立場から、堺市に救急救命センターが出来れば、救急診療体制が地域ごとに完結するようになるはずで、早い時期に救急診療体制を再構築し、救急医療ネットワークの充実に努めるべきことを強く求める。