府独自の行動指針を作成・周知せよ

感染症対策

危機管理の取り組みを


●感染症の拡大防止に日頃の備えを

 2003年のSARS、昨年の新型インフルエンザ、そして今年宮崎県で発生した家畜伝染病の口蹄疫など、近年、感染症によって日本中がパニック状態となる状況が頻発している。
 さらに、近年、インド、パキスタンから欧州に拡大し、世界的な拡大が危惧されていたほとんどの抗生剤が効かない新型耐性菌(スーパー細菌)が、先ごろ、我が国においても栃木県内の病院に入院していた患者から検出され、今後の注意が必要となっている。感染症がいつ発生するかを予測することは困難だが、感染の拡大を防ぎ、被害を最小限に抑えるためには、日ごろからの備えが最も重要だ。
 こうした観点から、自民党府議団は9月定例府議会で、感染症対策について橋下知事に質した。

●大阪府は最も危険度の高い都道府県のひとつ

 世界には、日本では一般に知られていない感染症が発生している地域が数多くある。アジアで発生している主なものだけでもマラリア、デング熱、チングニア熱などがあり、特にマラリアは毎年世界中で80万人以上の死亡者が報告され、日本でも海外で感染して帰国される輸入症例が年間100名程度あると聞いている。
 また、デング熱、チングニア熱についても輸入症例が毎年のように報告されている。これらは主に蚊が媒体する感染症だが、運輸・交通網の発達により人・モノの移動が容易になった現在においては、輸入症例だけでなくウイルス等を保有した蚊が貨物等ともに国内に入ってくる可能性がある。
 特に関西国際空港、阪神港がある大阪府は日本の中でも最も危険度の高い都道府県のひとつであるといえる。さらに、環境省が2005年〜2006年に「地球温暖化の感染症に係る影響に関する懇談会」を開催し、地球温暖化による感染症のリスク上昇について情報収集をするなど、本来もっと気温の高い地域等の感染症が国内で感染することや、病原体の定着について懸念している。
 知事はこうした指摘を認めたうえで、「昨年度の新型インフルエンザの経験を通じ、またこの春に宮崎県で甚大な被害を及ぼした口蹄疫など、危機管理の問題として感染症対策の重要性を再認識しおり、日ごろから危機意識を持って取り組んでいく」と答えた。

●初期対応が拡大防止の第一要件

 感染症は直接府民の生命・財産を脅かす問題であり、大規模自然災害と同様に危機管理の問題として、最優先で取り組む必要がある。特に人から人へ感染する新型インフルエンザ等の発生には適切な初期対応が拡大防止の第一要件であり、まず行動しなければいけないのは都道府県。その際、ただ国からの指示を待つだけでなく、その間に「できること」「必要とされること」を迅速に実行していけるよう、あらゆる可能性について府独自の行動指針等を作成しておき、保健所、本庁担当職員、市町村、医療機関等関係機関に周知しておかなければならない。輸入感染症のことを踏まえ、感染症対策に関する知事の所見を聞いた。
 知事は、感染症発生時の対応や予防のための具体的な取り組みをまとめた予防計画及びマニュアル、口蹄疫やBSEなど動物の感染症における防疫対応マニュアルを策定していることを明らかにし、「どのように行動するかルール化していく」と答えた。
 さらに、「平時から感染症の発生動向の把握、府立公衆衛生研究所や家畜保健衛生所において輸入感染症を含めたウイルスや細菌等の病原体検査の実施など、サーベイランスに努めている」とした。

 自民党府議団は、府民の安心・安全を守るため、今後とも感染症対策に万全の取り組みを行っていく。