平成21年度決算委員会から
平成22年11月18日

今日は、商工労働部と環境農林水産部に質問しました。

中小企業金融対策の評価について

府は現在、府下の中小企業に対して、年間1兆円にのぼる融資を大阪府中小企業信用保証協会を通じて、実施しています。


仕組みは、中小企業者が金融機関から融資をうける際、中小企業者の信用力を高めるため、府の信用保証協会が一定の保証料を中小企業者からいただき、金融機関にたいし中小企業者にかわって府の保証協会が融資の保証をする制度です。 この制度で、中小企業者は担保物件の提供や第三者保証人なしに金融機関から融資を受けられることになり、一定の金額までは、無担保無保証人で融資されます。 大きな金額になると、担保が必要になりますが、いずれにしても、大阪の中小企業者が金融機関より融資を受けられ易いようにしています。 

これを制度融資といいますが、金融は産業の命であり、血液です。 とりわけ大企業と違って、資金力の弱い中小企業にとっては、創業するにしても、資金繰りをするにしても、また、現在のような厳しい経済環境において経営安定をはかるにしても、この融資制度はなくてはならぬものであり、中小企業金融の根幹の制度となっています。

それだけに、この制度がしっかりと機能しているか、議会としても検証を常にしておかねばなりません。

この融資制度も、年代によって内容や仕組みが違っており、最近では平成16年から平成19年度までは、金融新戦略として金融機関とタイアップした府独自の融資が主力で行なわれ、平成20年度から今年度までは金融機関との責任共有型の融資制度が行なわれ、これに加えて、平成20年10月からは、リーマンショックをうけての世界不況に備えた政府の緊急経営対策資金融資が実行されています。 また、この緊急経営対策も今年で終わることになっており、来年度からは新たな制度による融資制度に衣替えされることになっています。

ところが、今までの府の決算報告の仕組みによると、これらの融資制度がどう変わったのか、又、何故変えなければならぬのか、どんな効果をあげているのか、どんな問題があるのかの状況がまったくつかめません。最近では、経営状態の悪化による貸し倒れが増加し、これに伴う府の損失補償金も大きく増加してきており、また一方では、実際の融資にあたっての中小企業者からの苦情も沢山聞こえてきます。


それだけに、それぞれの融資制度がどんな効果をあげているのか、また、問題点や課題どうなっているかということについてしっかりと検証されなければなりませんし、またその検証のための仕組みが大事であり、是非検証の仕組みをつくるよう商工労働部長に求めました。

また、現在の信用保証協会の業務は、金融のみに特化していますが、府が中小企業振興として中小企業者と接する接点は、実はここでの業務が圧倒的であり、一方で、これだけ変化する経済情勢に的確に対応するためには、中小企業者にとっても経営革新が最も大事なことであります。こうした意味で、信用保証協会が単に融資業務だけに携わっているのではなく、もう一歩進んで、経営支援の業務をすることも考えるべきだと要請しました。 経営相談や経営支援については商工会議所やその他の府の支援の仕組みがありますが、商工会議所は商工会議所だけ、信用保証協会は融資だけとなっており、それぞれの業務をもっとリンクさせれば、中小企業振興ももっと有効なものになると思っています。

環境基準の達成状況と流入車対策について
府民の健康を守る上で、欠かせぬ要件のひとつが大気や水、土壌などの環境をいかに良好な状況に保つかという問題です。

かつて大阪は産業の都といわれ、工場の煙突から排出される煙で大阪の空が、ねずみ色にけむっていた時代がありましたが、昭和40年代からの公害規制により、工場からの有害物質の排出はなくなりました。 

その後の大気の環境問題は、自動車などの排気ガス、特にディーゼル自動車の二酸化窒素(NOx)や浮遊粒子状物質(PM)の排出ガスの問題でありました。 国は大気環境を守る為、環境基準を定めるとともに、発生源である自動車の製造規制を進めてきましたが、なお環境基準を確保することが困難な地域に対する対策を強化し、平成13年にそれまでの自動車NOx法を改正し、自動車NOx・PM法をつくり、東京や名古屋、大阪の都市圏での自動車排出ガス規制をすることを決めました。 中味は、これらの地域での環境基準を守る為、当該地域の車両は、排ガス規制基準適合車でないと、車両の購入や保持が出来ないという法律でありました。 

大阪府でも平成15年大阪府自動車NOx・PM総量削減計画を策定、自動車自体の規制を進めるとともに、低公害車の普及促進などに努めてきました。

ところが、自動車NOx・PM法の最大の問題は、保有車両の規制を基本にしていたため、走行車両の規制については何の措置もなく、このため、大阪ナンバーでない他府県からの車の流入の比率がどんどん高くなり、また、大阪の車も規制地域外へ登録換えするような事態がおこってきました。 これが、いわゆる流入車問題と言われるものでありました。

この問題は、東京でも同じであり、石原知事が、ビンの中に黒い浮遊粒子状物質を入れ、国の政策を厳しく弾劾したことを記憶されている方もおられるかと存じます。

府議会でも、この問題についての議論が幾度もありましたが、私も平成18年の決算委員会で当時の太田知事に、この問題の深刻さを数字を示して追求し、この問題の解決のためには、登録車両の規制だけでなく、他府県や規制地域外から大阪へ入る車両の流入規制をしなければならぬこと。 

そして、そのためには大阪へ流入する車については、基準適合車であるように規制すること、また、そのためには、車の所有者だけでなく、仕事の発注をする荷主にも義務を課し、流入を規制することが必要だと訴えました。

これを受け、府では環境審議会で対策を審議、大阪独自の環境条例をつくり、平成21年1月よりは、大阪で走行する車は、基準適合車でなければならぬこと、さらにその責任を車の所有者である運送事業者やバス事業者などに求めるだけでなく、荷主等にも義務を課すことしました。

皆さんも大阪の街を走っているトラックやバスの前面や側面に丸い青い適合車マークのついたステッカーが貼られているのを見たことがあると思いますが、このステッカーが貼られた車が、排ガス規制基準に合格している車なのです。

大阪では、平成14年当時45万台あった排ガス規制の非適合車が、今年度末までには大半が適合車に代替される見込みであり、また、今年の8月現在、大阪を走る90万台の車に適合車ステッカーが貼られており、そのうち他府県の車も50万台を超えるとのことです。

この結果、21年度の大阪の二酸化窒素の環境基準達成率は、一般環境大気測定局で100%、自動車排出ガス測定局で94.4%となり、また、浮遊粒子状物質は一般測定局、自動車排ガス測定局とも100%になったとのことです。

結果からみれば、簡単なようですが、環境基準適合車への代替のために平成14年度から20年度までの事業者の負担した費用は大阪だけでも8,500億円に上るとのことであり、大変な民間の協力によって、現在の環境基準が達成できていることを忘れてはならないと思います。

また、東京都では、大阪府より先行されて対策をとられたのですが、東京方式では自動車そのものを監視する規制を行なったため、監視のカメラシステムの運営や都の職員として多くの監視員を置かざるをえず、多額の費用をかけて取締りをされているとのことでありますが、大阪では、事業者や荷主の皆さんに協力を求めることを基本としたため、この対策のため新たに使われた公費はステッカーの作成と配布に要した経費等のみであり、こうした意味では、この制度は民間の皆さんの自主的な努力によって、達成されたという画期的な制度でありました。