特区制度等の検証について

〜平成21年度決算委員会より〜


平成22年12月02日

小泉政権以来、規制緩和や都市再生のための構造改革特区制度や都市再生緊急整備地域指定が行なわれてきましたが、大阪府での現在までの特区の適用状況や効果がどうであったか、また、大阪都市圏での都市再生事業がどの程度まで進められてきたかを検証しました。


また、大阪では独自の企業立地誘導策として企業立地促進優遇制度を実施しているが、この制度もどれだけの効果を上げているのか検証しました。


先ず構造改革特区ですが、府が提案した規制緩和メニューは162件であり、特区の認定されたのが11件、いきなり全国展開されたのが22件であり、このうち府内で実際に特区として計画が認定され実施されたものは32件とのこと。


また、都市再生緊急整備地域は、平成14年の第一次指定以来、大阪市分が4地域、大阪府分が8地域、合計12地域1,080haが指定され、大阪府分の4地域はすでに完成、大阪市分のうち、大阪市内の北ヤードや大阪駅周辺開発は、現在整備中ですし、福島区の「ほたるまち」開発は、既に完成していることは、福島区の皆さんはよくご存知の通りです。


私から、担当部に特に聞いたことは、これらの計画が大阪経済にどの程度の波及効果を上げたかということであります。 答えは、構造改革特区については、認可されたのは極めて限定されたメニューであり、税制や財政措置を伴うものは除外されており、実際の効果は乏しいようでありました。 一方、都市再生緊急整備地域指定は、大阪の中心市街地の活性化や、府下の主要駅近辺の再開発事業に大きく寄与してきたが、平成18年で新たな指定が終わり、今までの仕組みでの再開発事業は概ね需要が一巡したとのこと。 それだけに、今後は、税制や財政措置を伴った特区との併用の仕組みをしなければ、効果がないようでありました。


また、商工労働部の所管になるが、企業立地促進優遇制度の状況についても聞いてみたが、この制度は、府が開発した「りんくうタウン」などの産業拠点に新規投資を促進するため平成13年度から実施してきたものと、既存の工業集積地への企業誘致を進めるため平成19年度から実施したものがありますが、実際に制度を使い進出した企業のほとんどは大規模産業拠点への進出であって、実は、その産業拠点もほぼ立地が完了したとのことでありました。


以上の結果から、構造改革特区はボリュームが小さく、効果は極めて薄く、都市再生緊急整備事業は一定の役割を終えてしまっている。 産業拠点はすでに満杯。 こうした中で、これからの大阪の再生を描かねばならぬが、これからの産業立地場所をどこで供給するのか、実際には、極めて難しい課題を抱えているのが現状です。 こうした状況下で成長戦略を実施していかねばならないが、そのためには、相当工夫をこらさねばならず、単に今までの仕組みの延長ではなく、今日の課題にしっかり対応できるような仕組みに組替えることがなにより必要であることを提言しました。


なお、今話題の府の成長戦略案でありますが、実は、今年の2月府議会の総務常任委員会で私の方から府として成長戦略をまとめる必要を提案し、その後、素案が検討され、去る12月3日に正式に府の成長戦略案として決定されたものです。 大阪府は今後この成長戦略案を軸に、大阪再生への取り組みを行なうことになると存じます。