市町村教育委員会と府教育委員会の役割について

平成21年度決算委員会から
平成22年11月15日

今日から平成21年度一般会計の決算審査がはじまりました。委員は20名で、私もメンバーの一人で、今日は府民文化部と教育委員会の審査となっており、時間の関係で、教育委員会の関係に絞って質問しました。
テーマは、一つは、府の教育委員会と市町村の教育委員会の役割についてと、もう一つは高校教育改革のひとつである府立工科高等学校の振興の問題について、質問しました。

市町村教育委員会と府教育委員会の役割について

橋下知事が誕生して間もない平成20年4月に、かねてからの懸案であった全国統一の小・中学生の学力テストが実施されました。結果は、皆さんご承知のとおり、大阪の子供たちの学力状況は、小学校6年生で全国41位、中学校3年生で全国45位という惨憺たる状況でありました。
知事や議会は、この状態に危機感を抱き、知事は「教育非常事態宣言」を発するとともに、学力テストの結果について市町村ごとの数字を公表することを発表しました。さらに、大阪の子供たちの学力向上のために21年度予算に緊急対策事業として市町村の小・中学校での学力向上のための予算を計上しました。

この度の決算委員会では、この緊急対策事業の実施状況や効果がどうであったかについて、検証するとともに、今後のあり方について、質問しました。

この緊急対策事業は、ほとんどが22年度で終了するのですが、問題はそのあとのことです。知事が市町村ごとの学力テストの結果の公表を求めたのは、実際に個々の学校を管理する役割は本来その市町村の教育委員会にあり、それぞれの市町村で自分たちの町の子供たちの教育をどうしていくかということの責任は、その市町村にあるのじゃないかということでありました。

教育の問題は、総論としての府全体の対策をとることと、各論としての個々の学校現場での実際の実行とがうまくかみ合わなくてはなりません。そのとき大事なことは、実際に学校現場を管理する市町村の教育委員会が、学校ごとにどんな対策をとるかということです。ここが非常にむずかしいことで、府の教育委員会が直接学校現場に入りすぎると市町村の自主性がなくなってしまいますし、責任が希薄になってしまいます。

そこで、私から特に指摘したのは、市町村の役割と府の役割を明確にし、それぞれの責任をはっきりさせることです。今まで、ともすればこのことがあいまいになり、教育問題を総論でのみ論議されたり、形式論におわってしまったりし、実際には学校現場がなかなか変わらないという状態が続いてきたのじゃないかと思います。

残念ながら全国統一テストは、昨年政権が交代し、今年から抽出調査のみに変わってしまいましたが、大阪府では来年度から独自で全校テストを実施することにしています。

自分たちの子供たちの教育は、自分たちの町の責任であるということが、大阪の教育を良くしていく原点であるということの認識を確立するためにも、市町村の教育委員会の役割と府の教育委員会の役割を明確にしていくことが大事だと、府の教育長に強く要請しました。

府立工科高等学校の振興問題について

次の質問は、工科高校の振興問題です。府は、教育改革の一環で、府立の工業高校を工科高校と名称を返還し、従来の職業高校の位置づけから、専門高校という位置づけに工業高校を変換し、もっと専門性の高い高校へとグレードアップすることにしていますが( 私が提案し、16年度から実施 )、その後の教育委員会の取り組みが充分であるか、改めて検証しました。
私は、特に技術系の学校は、即社会につながっているので、日進月歩する技術革新の社会にどれだけ対応しえているかということが、最も大事なことであると思っており、そのための設備機器の充足状況がどのようになっているか聞いてみましたが、残念ながら、現在の財政状況では、必要な機器の導入は難しく、最低限の導入におわっているとのことでありました。
聞いてみると、機器の導入は基本的に府の予算で購入しているということであったが、私はもっと発想の転換をすべきではないかと提案しました。
言うまでも無く、大阪は中小企業の街です。また、ものづくりの街です。大阪にはある意味では、それらの企業に全国一の設備があります。同時に、そうした設備は、日進月歩で更新されています。そこで更新された企業などの使用機器を回してもらったり、研修で使わしてもらえば、公費で新しい機器を購入しなくても、生徒たちは最新の機器にふれたり、学んだりすることができるのではないかと提案しました。

また、最近、大学や企業とのコンソーシアムをつくりつつあるとのことですが、もっと、多くの企業や、府立の大学等との連携を進め、また、その連携もひとつひとつの学校に任せておくのではなく、府立の工科高校を学校群としてまとめ、最新の技術を生徒たちが修得できるような仕組みをつくるべきだと提言しました。

大阪は、ものづくりの街です。これから社会へ出て行く生徒たちが、自信と誇りをもって勉学に励めるよう、エリート教育に力を入れることも大事だが、一方で、本当に社会を支える人材を輩出できる大阪府の高校教育の振興が図られるよう要望しました。